ふかきあきじ

知財について

平成29年度弁理士試験の日程

平成29年度弁理士試験の日程が発表されました。日程は以下の通りです。

 

短答式試験 : 平成29年5月21日(日)

短答合格発表: 平成29年6月12日(月)(予定)

論文必須科目: 平成29年7月2日(日)

論文選択科目: 平成29年7月23日(日)

論文合格発表: 平成29年9月27日(水)(予定)

口述試験  : 平成29年10月下旬

最終合格発表: 平成29年11月9日(木)(予定)

 

その他、平成29年度弁理士試験について詳しくはこちらをご覧下さい。

http://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/h29_sekou.htm

欧州のクレーム中の参照符号についてのQ&A

Q. クレーム中に参照符号が必要となる場合とは

A. ①出願が図面を含み、かつ、②クレーム中に記載された特徴と図面中の対応する引用符号との関連を明確にすればクレームの理解が改善される場合、参照符号の記載が必要となる。

 

Q. 参照符号はクレーム中でどのように記載するのか

A. クレームに記載された特徴の後に括弧に入れて記載する。例えば、「突起(5)」。

 

Q. 実施形態が多数存在する場合、全ての実施形態の参照符号を書く必要があるのか

A. 全ての符号を書く必要は無く、最も重要な実施形態の参照符号を独立クレームに記載すればよい。

 

Q. クレームが2部分形式(two-part form)で書かれた場合、参照符号は特徴部分にのみ記載すればよいのか

A. 特徴部分だけでなく、前段(preamble)にも記載すべきである。

 

Q. 参照符号はクレームの解釈に影響するのか

A. 引用符号はクレームによって保護される事項を限定するものとみなしてはならない。引用符号の唯一の役割は、クレームを理解し易くすることである。明細書でその旨をコメントすることは認められる。

 

Q. 参照符号と共にテキストを記載することができるか

A. 括弧内に参照符号と共にテキストを記載すると明瞭性が失われることがある。

 例えば、「固定手段(ねじ13、釘14)」などの表現は、参照符号と共に記載された特徴が限定的なものであるか否か不明瞭であるので、このような括弧入りの特徴は一般的に許されない。

 しかし、特定の参照符号を示す必要があれば、「(13 - Figure 3; 14 - Figure 4)」などの図の追加符号は許される。

 

【出典】

F‑IV, 4.19 Reference signs - Guidelines for Examination

ハーグ協定に基づく意匠の国際出願件数の推移

第5回意匠制度小委員会の配布資料として、ハーグ協定のジュネーブ改正協定加入後の状況を説明する資料が特許庁のホームページに掲載されていました。

http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/isyounew05/04.pdf

2015年のデータなので少し古いのですが、日本の出願人による意匠の国際出願の件数は順調に伸びているようです。外国の出願人による日本への意匠出願も、日本の条約加盟により2015年は例年以上の伸びを示しています。

最新の統計 

最新のデータをWIPOStatistics under the Hague Systemで調べてみました。

日本の出願人による国際出願

日本の出願人による国際出願の件数は、2015年に125件であるのに対し、2016年は301件となっています。

日本でハーグ協定に基づく意匠の国際出願が可能になったのは2015年5月であり、2016年の国際出願の件数もまだ集計中なので、単純には比較できませんが、かなりの割合で増えていることは間違いないようです。

意匠の国際出願における日本の指定

意匠の国際出願における日本の指定数は、2015年が576件であるのに対し、2016年は1042件となっています。

こちらも単純には比較できませんが、かなり増加していることは間違いないようです。

まとめ

新しい制度に対しては慎重にならざるを得ない部分があると思いますが、今後も意匠の国際出願の利用は広がるものと思います。

 

 

日産、特許権侵害として米国で訴えられる

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い致します。

 

WIPR(World Intellectual Property Review)によると、2016年12月23日、米国の特許権US5877677を侵害するとして、自動車メーカーの日産を相手に米国で訴訟が提起されたということです。原告は個人発明家のようです。


発明は、エアバッグに関するもので、搭乗者が所定の体重以下の場合にはエアバッグが作動しないようにシートに重量センサを設けたものです。子どもがエアバッグによって怪我を負わないようにすることを目的としています。

 

詳しくはこちらをご覧下さい。

www.worldipreview.com

弁理士選択試験免除に「支援士試験」を追加する規則改正

弁理士法施行規則の改正が特許庁から発表されました。

弁理士試験の論文式筆記試験(選択 科目)の免除対象試験に情報セキュリティスペシャリスト試験の後継の「支援士試験」を追加する改正です。平成29年1月1日から施行されます。

詳しくはこちらをご覧下さい。

弁理士法施行規則の一部を改正する省令(平成28年12月28日経済産業省令第112号) | 経済産業省 特許庁

併せてこちらもご参照下さい。

弁理士法施行規則第6条第3号及び第9号の経済産業大臣が認める者を定める告示(弁理士法施行規則第6条第3号及び第7号の経済産業大臣が認める者を定める告示の一部改正)について | 経済産業省 特許庁

PDFのタイトルに商標法施行規則とありますが、誤記と思います。

EPO、バイオ関連出願の審査を停止

EPO(欧州特許庁)は、本質的に生物学的プロセスによって得られた植物または動物の発明に関する審査および異議申立て事件の全ての手続きの停止を決定しました。

www.epo.or

知財収支は2.4兆円の黒字

日本の国際収支において、2015年度の知財収支は2.4兆円の黒字となり、過去最高を更新しています。

ただし、そのうちの7割が海外グループ企業からの収入ということです。

www.nikkei.com

マドリッド制度125周年

WIPOのWEBサイトに125周年を迎えたマドリッド制度の業績が掲載されています。

http://www.wipo.int/madrid/ja/news/2016/news_0027.html

これによると、マドリッド同盟総会は、10月にマドリッド協定14条(1)と(2)(a)の適用の停止を決めたということです。

これにより、新たな加盟国は協定のみに加盟するということはできなくなり、新たな加盟国はマドリッド議定書(または議定書と協定の両方)に加盟することを求められることになりました。

マドリッド協定とマドリッド議定書(マドリッド協定議定書)の違いはこちらをご覧ください。

標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書 - Wikipedia

米国商標審判部(TTAB)の新しい規則が適用されます

2017年1月17日より、米国の商標審判部(TTAB)の新しい規則が適用になります。2017年1月17日に係属している全ての事件に適用されます。

詳しくはこちらをご覧下さい。

https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/81%20FR%2069950.pdf

トランプ大統領の任期内の知財戦略の特許に関する部分の概要

イノベーションと技術的アドバンテージのサポート:国内および外国での効果的かつ予測可能な特許保護のためのツールの必要性。

特許集約型産業は、米国経済の原動力である。最近の商務省の報告書によると、2014年の特許集約型産業の付加価値は8,810億ドルで、米国の国内総生産GDP)の5.1%だった。研究開発への投資を促進する効率的かつ予測可能な特許保護政策を支持することは、革新的経済の継続的な成長にとって重要である。特許や企業秘密を含む知的財産権を保護するための効果的な仕組みがなければ、競合他社は発明やイノベーションに必要な時間とリソースを投資せず、単に傍観してコピーするだけである。研究開発は、そのような投資が商業的に利用される保障がない、よりリスクの高い投資である。簡単に言えば、効率的かつ予測可能な特許保護政策を促進することは、イノベーターの原動力と創造性を活用し、経済が革新的で競争力のあるものになることを確実にする。

1. 国内特許保護の強化。

強力な特許権をサポートし、イノベーション起業家精神に報酬を与え、濫用的な特許訴訟の発生を最小限に抑えるバランスのとれた政策は、効果的な特許制度の鍵である。USPTOの指導力が強調しているように、特許の質は、米国憲法が「科学と有用な芸術の進歩を促進する」と述べた米国の特許制度の目的を達成する上で中心的なものである。高品質の特許は、効率的なライセンス供与、研究開発への投資、将来のイノベーションを促進する。特許所有者と公衆は、発行された特許の境界の明確な通知を有することから利益を得る。

USPTOの強化された特許品質イニシアチブは、特許審査プロセスの全段階で特許品質に関するベストプラクティスを制度化する上で基本的な役割を果たす。このイニシアチブは、特許審査官が利用可能な検索ツールを認識し、関連する先行技術を特定するためのリソースを向上させ、訴訟記録の明確性を高めるためのベストプラクティスを特定し、 将来の意思決定を容易にする特許審査官の作業成果物の正確性および明瞭性に関するデータをキャプチャする。当初の品質審査のプラクティスは、特許システムへの自信を深め、イノベーションを促進する上で重要である。

高品質な特許の開発を支援することは、費用がかかり往々にして不必要な訴訟につながる可能性のある問題を減らすのに役立つ。近年、特許アサーションエンティティ(PAE)またはノンプラクティショニングエンティティ(NPE)と呼ばれる特定の企業による、濫用的な特許訴訟の戦術に近年注目を集めている。法的精査の対象となる場合には不適用か無効とみなされる可能性のある特許クレームに基づいて、会社を脅迫し、不当なライセンス料または和解を引き出す乱用的な訴訟戦術が用いられると報告されている。

この戦略計画の発行直前に、連邦取引委員会は、「特許アサーション・エンティティ活動:FTC調査」ーFTC法第6条(b)に基づく機関の権限を使用している団体からの2009-2014年の非公開情報とデータの調査ーを発効した。FTCはPAEのビジネス慣行に焦点を当て、継続的な政策討議のために追加の経験的基礎を備えたPAEの理解を強化している。

近年、米国特許制度は、特許における濫用的な訴訟戦術の削減に重点を置いたいくつかの重要な変更がなされている。これらの変更には、特許適格主題に影響を及ぼす米国最高裁判決、米国発明法(AIA)によって制定されたUSPTOにおける新たな助成後審査手続の実施、特許事件の主張基準を掲げる民事訴訟の連邦規則の変更、特許訴訟の管理を改善するためのローカルモデルルールの採用、弁護士報酬の授権に関する米国最高裁判決などが含まれる。

AIAは、1952年以来、米国特許制度に対する最も重要な法改正であり、濫用的な特許訴訟を潜在的に抑制するための特有の審判を設立した。AIAにより構成されたPTABは、AIA裁判手続における被告人の訴えられたクレームの特許性を審査する。PTABでPAEが主張する特許クレームの特許性に挑戦することにより、ステークホルダーは濫用的な特許訴訟の慣行を抑制するための肯定的な措置を講じることができる。USPTOは、従来の裁判所の費用がかさむ厄介な訴訟手続のより効果的かつ公正な代替手段となるPTAB規則と手続をどのように発展させるかについてステークホルダーと関わり続けており、PTABはすでに目に見える結果を生み出している。

さらに、連邦民事訴訟規則(2015年12月に発効)の改正により、特許事件の主張基準が挙げられた。その結果、原告は、単に被告が侵害主張を通知する以上のことをする必要がある。特許侵害を主張する当事者は、Bell Atlantic Corp. v. Twombly、550 U.S. 544(2007)およびAshcroft v. Iqbal、556 US 662(2009)で述べられた要件を遵守する必要があり、その要件は次の主張をする訴状を求める。「もっともらしい主張を述べるための真実であると受け入れられる十分な事実関係、」、「被告が主張された違法行為に対して責任を負うという合理的な推論を裁判所が行うことを許可する」(Iqbal、id. at 678)

新しい技術は特許制度に挑戦し続ける。新たな技術が特許ランドスケープにどのような影響を与えるかについての将来の分析とステークホルダーの協力は、USPTOの重要な優先事項である。 USPTOは、新興技術に関連する問題に対処するための多面的アプローチを実施しており、これには次のものを含む。(1)特許審査官技術訓練プログラム(PETTP)およびその他のイニシアチブを通じて、新技術に関する専門家の技術訓練を特許審査官に提供することにより、特許品質を向上させること、(2)新興技術イニシアチブに関する機関間リーダーシップと技術的専門知識を提供すること、(3)新技術の特許制度への影響に関するステークホルダーとの協議の促進。USPTOは、積層すなわち3Dプリンタ、「Internet of Things」やブロックチェーンなど、技術の知的財産への影響を綿密に監視している。

目標は、経験的データの収集とレビューを続けるとともに、米国特許システムに対する最近の変更の影響を慎重に監視して、特許権者の重要なニーズと本当に重大な訴訟を軽減するという目標とのバランスをとる政策オプションを評価することである。

原文はこちらの134ページ以降をご覧下さい。

https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/omb/IPEC/2016jointstrategicplan.pdf