ふかきあきじ

知財について

ついに「建築の意匠」が意匠登録の対象へ!


令和元年度の法改正により、建築の意匠(デザイン)の登録が認められるようになります。改正法の施行日は2020年4月1日です。

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現在の著作権法による建築の意匠の保護

著作権法では建築の著作物(著作権法第10条第1項第5号)を認めていますが、凱旋門や宮殿のような「建築芸術」と呼べるものでなければ、建築の著作物には当たらないと解釈されています。また、建築の著作物に該当したとしても、著作権の効力は厳しく制限されています(著作権法第46条等)。建築物は、絵画や音楽などとは異なり、実用的なものであって、風景の一部になるものであるためです。

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なお、図面が著作権で保護される場合がありますが、これは図形の著作物(著作権法第10条第1項第6号)として保護されるのであり、必ずしもその図面により表される建築の著作物まで保護されるものではありません。

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現在の不正競争防止法による建築の意匠の保護

建築の意匠が「商品等表示」として需要者の間に広く認識されている場合には不正競争防止法により保護される可能性があります。「商品等表示」というのは、自己の商品・サービスと他社の商品・サービスとを識別するための表示を意味し、例えば、商標(トレードマーク)があります。建築の意匠が商標のような役割を果たす場合には、不正競争防止法により保護される可能性があるということです。

ただし、不正競争防止法においては、建築の意匠が需要者の間に広く認識されるまでの間は保護されず、また、需要者の間で広く認識されるまでに至る建築の意匠はごく一部と考えられます。 

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改正前の意匠法

改正前の意匠法第2条第1項は、意匠の定義を以下のように規定しています。

この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。

この「物品」の解釈として、原則として動産である必要があり、改正前の意匠法では不動産の意匠は意匠登録を受けることができないとされていました

ただし、例えば、門、組立バンガローのように、工場で製造したものを設置場所に運搬して組み立てるだけのものは意匠登録の対象になるとされています。微妙なのはプレハブ化が進んだ住宅やアパートなどですが、これらは「組立家屋」として意匠登録の対象とされています。

また、タイルやカーテンウォールのような部材単位であれば、現在でも意匠登録を受けることができます。

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新たに登録になる建築の意匠

上記の点を考慮すると、新たに意匠登録が認められる建築は、プレハブ化が進んだものではなく、現場で作り上げるものになります。

対象となる意匠は建築の外観だけでなく、内装も含まれます。内装については、現在、複数の家具等からなる意匠は認めないという規定がありますが、それが改正され、複数の家具等からなる内装についても登録が認められることとなります。

意匠法は、アイデアの段階での意匠登録を認めていますので、建築の意匠についても、意匠設計の段階であっても登録は認められることになります。

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意匠登録の手続

意匠登録を受けるためには、特許庁に対して意匠登録出願という手続を行い、登録を受けられるか否かの審査を受ける必要があります。審査を通過したもののみが意匠登録を受けることができます。

意匠登録出願において、意匠は、図面、写真、ひな形、見本のいずれかにより表現することとなっていますが(意匠法第6条)、建築の意匠は図面か写真により表現することになると思います。

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意匠登録の要件

特許庁では、主に、意匠が新しいものか(新規性)、意匠が容易に創作できたものでないか(創作非容易性)、同一又は類似の意匠が先に出願されていないか(先願主義)といった要件を満たすか審査されます。

意匠登録を受けるためには、意匠を独自に創作し、意匠の内容を守秘義務のない者に知らせないようにして、なるべく早く意匠登録出願を行うことがポイントになります。 

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 2020年4月までに注意すべき点

意匠法が改正される2020年4月までに創作した意匠については、意匠の内容を守秘義務のない者に知らせないようにし、どうしても知らせる必要がある場合には、秘密保持契約を結ぶ必要があります。

2020年4月までに建築物が竣工してしまう場合など、秘密保持契約ではどうしようもない場合もありますが、その場合は、意匠の新規喪失の例外の適用を受けることが考えられます。新規性喪失の例外は、意匠が守秘義務のない者に知られる等してから1年以内に意匠登録出願をした場合に例外的に登録を認める制度です。

したがって、現在創作している意匠について登録を目指すのであれば、少なくとも2019年4月までは秘密状態を保つよう注意する必要があります。

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意匠登録を受けるメリット

意匠登録を受けることで、他者による模倣を防ぐことができ、また、他者に意匠登録を受けられてしまい、その意匠を利用できなくなるのを防ぐことができます。意匠法においては、たまたま同じような意匠を創作した者が複数いる場合でも、最も早く意匠登録出願をして登録を受けた者がその意匠を独占的に利用できることとなります。

意匠登録の効果は、登録を受けた意匠と同一の意匠だけでなく、登録を受けた意匠と類似する意匠にも及びます。

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 意匠登録に要する期間と費用

意匠登録出願から登録を受けるまでの期間の目安は半年から1年ほどです。

意匠登録出願を弁理士に依頼した場合、登録までの費用の目安としては1つの意匠について20~40万円が目安となります。

意匠登録は登録から20年間(ここも出願から25年間に改正されます)持ち続けることができます。登録を維持するためには1年につき16,900円の登録料を特許庁に納付する必要があります。

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 建築の意匠登録のご相談

建築の意匠についてのご相談は、井上国際特許商標事務所までお願いします。

電話番号 : 03-5816-1570

inoue-patent.com

改正された不競法2条1項11号がすごいことに

 2018年11月29日に改正法が施行された不正競争防止法2条1項11号がすごいことになっていますね。こいつです。

十一 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第八項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為

  改正前でも読みにくい条文でしたが、更に読みにくくなっています。

 こんなときは条文を加工するに限ります。

十一 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第八項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)

 

当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、

 

若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)

 

又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為

  同じ色の部分を読み進めると理解しやすいと思います。

 これが見えにくい方はこちらをお試しください。

十一 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第八項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)

 

当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、

 

若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)

 

又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為

 最初からこういう条文にしてくれればいいのに。

 この規定は、更なる法改正により、2019年7月1日から不正競争防止法2条1項17号になります。

「ふかきあきじ」の由来

 ブログタイトルの「ふかきあきじ」は、私の弁理士講座で紹介している商標法第3条第1項各号の規定の覚え方(語呂合わせ)に由来します。

 

普通名称(商標法3条1項1号)

 

慣用商標(商標法3条1項2号)

 

記述的商標(商標法3条1項3号)

 

ありふれた氏又は名称(商標法3条1項4号)

 

極めて簡単で、かつ、ありふれた標章(商標法3条1項5号)

 

需要者が出所を認識できない商標(商標法3条1項6号)

 

 

単に頭文字を並べただけなのですが、受講生の中には「深き秋路」の意味で捉えて、風情があるとおっしゃる方もいます。

学習が進めば、このような語呂合わせを使わなくても、条文番号から規定の内容が思い浮かぶようになりますが、最初に覚えるきっかけとしては語呂合わせを使用すると良いと思います。

 

 

 

 

 

元号を表示する商標の審査基準の改訂について

元号を表示する商標について商標法第3条第1項第6号の商標審査基準が改訂され、2019年1月30日から審査に適用されています。新元号が2019年4月1日に公表され、2019年5月1日に「平成」から新元号になることを考慮した改訂と思われます。

 

1.改訂の内容

 改訂前の商標法第3条第1項第6号の審査基準には以下のような記載がありました。

4.現元号を表示する商標について

商標が、現元号として認識される場合(「平成」、「HEISEI」等)は、本号に該当すると判断する。

 これが以下のように改訂されています。

4.元号を表示する商標について

商標が、元号として認識されるにすぎない場合は、本号に該当すると判断する。元号として認識されるにすぎない場合の判断にあたっては、例えば、当該元号が会社の創立時期、商品の製造時期、役務の提供の時期を表示するものとして一般的に用いられていることを考慮する。

 これにより、現元号に限らず、元号として認識されるに過ぎない場合には、商標法第3条第1項第6号に該当すると判断することとしています。2019年5月1日に「平成」が新元号になったとしても、「平成」の元号を表示する商標の登録を認めないこととする狙いがあるものと考えられます。

 弁理士試験対策として、「現元号」は商標法第3条第1項第6号に該当すると覚えるように指導を受ける場合が多いですが、これからは、現元号に限らず「元号として認識されるにすぎない商標」は商標法第3条第1項第6号に該当すると覚えることになります。

 

2.「元号として認識されるにすぎない場合」とは

 元号として認識されるに過ぎない場合の判断にあたっては、当該元号が以下のものを表示するものとして一般的に用いられていることを考慮することとしています。

 ・会社の創立時期

 ・商品の製造時期

 ・役務の提供の時期

 元号がこれらのものを表示するものとして一般的に用いられているかを考慮するのであって、これらのものを表示する商標に限られません。

 したがって、商標としてではなく、単に会社の創立時期などを表示する際に一般的に使用されている元号であっても、原則として登録にならない点に注意する必要があります。

 

3.古い元号について

 「明治」「大正」「昭和」「平成」といった元号は、会社の創立時期を表示するものとして一般的に用いられているため、元号として認識されるにすぎない場合に該当することになると考えられます。

 一方で、江戸時代の元号である「弘化」「万延」「元治」など、古い元号は、上に挙げた会社の創立時期などを表示するものとして一般的に用いられているものとは言えず、登録になる可能性はあると思います。

 

4.元号と他の言葉との組合せについて

 例えば、「平成まんじゅう」を商品「饅頭(まんじゅう)」に使用する場合、商標法第3条第1項第6号に該当するのかという点については、商品「饅頭」に対して「まんじゅう」という文字は識別力を有さないため、識別力のないもの同士の組合せとして、原則として商標法第3条第1項第6号に該当します。

 このことは、審査基準の改定前(2018年6月)に、旧元号についても商標法第3条第1項第6号に該当することとする旨を公表した特許庁のWEBサイトのページ(下記リンク先)に記載されています。

www.jpo.go.jp

 

5.ローマ字、カタカナ表記の場合の取り扱い

 旧審査基準に「HEISEI」の例示があることから、元号をローマ字やカタカナ表示にしただけでは、基本的には商標登録を受けることは難しいと考えられます。

 ただし、「大正」をローマ字にした「TAISYO」やカタカナにした「タイショー」は、「大勝」「大将」「大笑」など、別の観念が生じ、必ずしも元号として認識されるものではないため、登録になる可能性はあると思います。

 「明治」「昭和」「平成」に関してはローマ字、カタカナにしても元号の観念が生じてしまうように感じます。

 

6.例外的に登録を受けられる場合

 商標の使用により全国的に著名になっている場合など、使用による特別顕著性が認められる場合には、商標法第3条第1項第6号にいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」には該当せず、登録を受けることができます。

 このように、元号を表示するものだから絶対に登録にならないということではなく、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」に該当するか否かを個別具体的に判断することになります。

 

www.jpo.go.jp

 

令和元年(平成31年、2019年)の弁理士試験の日程(2019年6月20日更新)

令和元年(平成31年、2019年)の弁理士試験の日程が発表されました。以下の通りです。

 

2月1日(金)~3月22日(金): インターネットによる受験願書の請求

3月1日(金)~3月22日(金): 郵送による受験願書の請求

3月1日(金)~4月5日(金): 受験願書交付 

3月15日(金)~4月5日(金): 受験願書受付

5月19日(日): 短答式試験(12:00着席、12:30~16:00試験)

6月10日(月): 短答式試験合格発表(10:00頃掲示、正午頃ネット掲載)

6月30日(日): 論文必須試験(9:30着席、10:00~17:00試験)

7月21日(日): 論文選択試験(9:30着席、10:00~11:30試験)

9月18日(水): 論文式試験合格発表(10:00頃掲示、正午頃ネット掲載)

10月12日(土)~14日(月): 口述試験

10月31日(木): 最終合格発表(10:00頃掲示、正午頃ネット掲載)

11月5日(火): 合格証書発送(予定)

11月15日(木): 合格者名の官報掲載(予定)

 

2月に入ったらインターネットで受験願書を請求しましょう。郵送や特許庁等での受け取りも可能ですが、インターネットで請求した方が便利です。

まだ試験会場は発表されていませんが、宿泊が必要な場合には、昨年までの試験会場を参考にして、宿泊先の予約をとっておくと安心です。東京会場の場合は、新宿あたりのホテルを予約しておけば間違いないと思います。2019年は大丈夫だと思いますが、2020年はオリンピック・パラリンピックがあるので東京会場の近くで予約が取れるか心配ですね。

 

www.jpo.go.jp

 

www.jpo.go.jp

 

www.jpo.go.jp

 

 

2018年12月30日に施行された特許法、商標法の改正について

2018年12月30日に施行されたTPP11協定に基づく特許法、商標法の改正について、所属事務所のWEBサイトに解説ページを作りました。下記リンク先をご覧下さい。

inoue-patent.com

所属事務所のWEBサイトを自作しました。

5年ほど前(?)に自作した以前のWEBサイトは無料のレンタルサーバーを利用していたのですが、サービスが終了してしまったので、新たに有料のレンタルサーバーを借りて再度自作しました。

今回はWordPressのSydneyというテーマとElementorという編集ソフトのおかげで、前のサイトよりも綺麗に仕上がりました。

慣れない作業のため完成まで10時間ほどかかりましたが、前のサイトを作成したときよりも、だいぶ短かいと思います。

SEO的にどうとか、コンバージョン率がどうとか、詳しいことは分かりませんが、業者の見積りでは100万円から200万円だったので、自作してだいぶ節約できました。

前にWEBサイトを自作しようとして諦めた人でも、今なら自作できるかもしれません。ぜひチャレンジしてみて下さい。

inoue-patent.com

 

 

【弁理士短答試験】お手上げ問題で枝1と枝5は選ばないほうが良い理由

弁理士試験の短答式試験で全くお手上げな問題が出てしまった場合に、どの枝を選ぶかを予め決めておくと無駄な時間(鉛筆を転がす時間)を使わずに済みます。

過去10年分の正解枝を調べたところ、最も多く正解になっているのは枝3という結果になりました。この傾向は平成28年まで顕著でしたが、平成29年、平成30年では枝2枝4が最も多く正解になっています。

過去10年で2番目に多いのは枝2です。

総合的に考えると枝2枝3が有力です。試験中に枝2か枝3かを決めるのに鉛筆を転がすのでは意味がないので、試験前までにはどちらにするか決めておきましょう。

少なくとも枝1枝5は選ばない方が良さそうです。

過去10年間の各枝の正解数は以下の通りです。

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【欧州特許庁(EPO)】独立クレームと従属クレームの間の単一性

欧州特許庁(EPO)での特許出願の審査について、「独立クレームとそれに従属するクレームの間では単一性は判断されない」と言われることがあります。

この表現においては、複数の従属クレームが存在する場合、「①独立クレームとそれに従属する任意の1つの従属クレームの間では単一性が判断されない(つまり、従属クレームの間では単一性が判断される)」のか、それとも、「②独立クレームとそれに従属する一連のクレームの間で単一性が一切判断されない(つまり、独立クレームと従属クレームの間でも、従属クレームの間でも単一性が判断されない)」のか明確ではないので、調べてみました。

 

EPOの審査ガイドライン

欧州特許庁の審査ガイドラインのPart F Chapter Vには以下のようにあります。

Part F – The European Patent Application
Chapter V – Unity of invention

No objection on account of lack of unity is justified in respect of a dependent claim and the claim on which it depends (see F-V, 2.1).

If, however, the independent claim appears not to be patentable, then the question whether there is still an inventive link between all the claims dependent on that claim needs to be carefully considered (see F‑V, 4.2).

これによると、独立クレームとそれに従属する任意の1つのクレームとの間では単一性欠如の拒絶とする必要はないものの、独立クレームに特許性(新規性、進歩性)が無い場合は、その独立クレームに従属するクレームの間で単一性の判断が行われます。

 

例えば、

独立クレーム1に従属するクレーム2および3がある場合、独立クレーム1に特許性がなければ、従属クレーム2と3の間では単一性の判断が行われます。この場合、独立クレーム1には特許性がないので、独立クレーム1を残すことを前提として、独立クレーム1と従属クレーム2、独立クレーム1と従属クレーム3の間の単一性を判断する意義はありません。しかし、従属クレーム2、3には特許性があるかもしれないので、従属クレーム2と3の間で単一性の判断を行う意義はあります。

一方、独立クレーム1に特許性がある場合、独立クレーム1とそれに従属するクレーム2及び3は、いずれも独立クレーム1に記載の特別な技術的特徴(新規性・進歩性のある特徴)を有することから、クレーム1から3は単一性があるということになり、単一性を判断する必要はありません。

 

結論

冒頭の「独立クレームとそれに従属するクレームの間では単一性は判断されない」というのは、独立クレームに特許性がない場合は「①独立クレームとそれに従属する任意の1つの従属クレームの間では単一性が判断されない(つまり、従属クレームの間では単一性が判断される)」という意味で、独立クレームに特許性がある場合は「②独立クレームとそれに従属する一連のクレームの間で単一性が一切判断されない(つまり、独立クレームと従属クレームの間でも、従属クレームの間でも単一性が判断されない)」という意味なのかなと思いました。

いずれにしても独立クレームとそれに従属する任意の1つの従属クレームの間で単一性が判断されることはなさそうです。

 

 

 

パリ条約の同盟国の数

工業所有権の保護に関するパリ条約の同盟国の数は、WIPOのウェブサイトによると、178カ国とのことです(2022年4月5日時点)。世界の国の数を196カ国とすると、約90%の国が加盟していることになります。

同盟国は以下の通りです。

 

アフガニスタン

アルバニア

アルジェリア

アンドラ

アンゴラ

6 アンティグアバーブーダ

7 アルゼンチン

アルメニア

9 オーストラリア

10 オーストリア

11 アゼルバイジャン

12 バハマ

13 バーレーン

14 バングラデシュ

15 バルバドス

16 ベラルーシ

17 ベルギー

18 ベリーズ

19 ベナン

20 ブータン

21 ボリビア

22 ボスニア・ヘルツェゴビナ

23 ボツワナ

24 ブラジル

25 ブルネイ・ダルサラーム

26 ブルガリア

27 ブルキナファソ

28 ブルンジ

29 カンボジア

30 カメルーン

31 カナダ

32 中央アフリカ共和国

33 チャド

34 チリ

35 中国

36 コロンビア

37 コモロ

38 コンゴ

39 コスタリカ

40 クロアチア

41 キューバ

42 キプロス

43 チェコ共和国

44 コートジボワール

45 朝鮮民主主義人民共和国

46 コンゴ民主共和国

47 デンマーク

48 ジブチ

49 ドミニカ

50 ドミニカ共和国

51 エクアドル

52 エジプト

53 エルサルバドル

54 赤道ギニア

55 エストニア

56 エワティニ

57 フィンランド

58 フランス

59 ガボン

60 ガンビア

61 ジョージア

62 ドイツ

63 ガーナ

64 ギリシャ

65 グレナダ

66 グアテマラ

67 ギニア

68 ギニアビサウ

69 ガイアナ

70 ハイチ

71 バチカン

72 ホンジュラス

73 ハンガリー

74 アイスランド

75 インド

76 インドネシア

77 イラン

78 イラク

79 アイルランド

80 イスラエル

81 イタリア

82 ジャマイカ

83 日本

84 ヨルダン

85 カザフスタン

86 ケニア

87 クウェート

88 キルギス

89 ラオ人民民主共和国

90 ラトビア

91 レバノン

92 レソト

93 リベリア

94 リビア

95 リヒテンシュタイン

96 リトアニア

97 ルクセンブルク

98 マダガスカル

99 マラウイ

100 マレーシア

101 マリ

102 マルタ

103 モーリタニア

104 モーリシャス

105 メキシコ

106 モナコ

107 モンゴル

108 モンテネグロ

109 モロッコ

110 モザンビーク

111 ナミビア

112 ネパール

113 オランダ

114 ニュージーランド

115 ニカラグア

116 ニジェール

117 ナイジェリア

118 ノルウェー

119 オマーン

120 パキスタン

121 パナマ

122 パプアニューギニア

123 パラグアイ

124 ペルー

125 フィリピン

126 ポーランド

127 ポルトガル

128 カタール

129 韓国

130 モルドバ共和国

131 ルーマニア

132 ロシア連邦

133 ルワンダ

134 セントクリストファー・ネイビス

135 セントルシア

136 セントビンセント・グレナディーン

137 サモア

138 サンマリノ

139 サントメプリンシペ

140 サウジアラビア

141 セネガル

142 セルビア

143 セイシェル

144 シエラレオネ

145 シンガポール

146 スロバキア

147 スロベニア

148 南アフリカ

149 スペイン

150 スリランカ

151 スーダン

152 スリナム

153 スウェーデン

154 スイス

155 シリアアラブ共和国

156 タジキスタン

157 タイ

158 トーゴ

159 トンガ

160 トリニダード・トバゴ

161 チュニジア

162 トルコ

163 トルクメニスタン

164 ウガンダ

165 ウクライナ

166 アラブ首長国連邦

167 英国

168 タンザニア連合共和国

169 アメリカ合衆国

170 ウルグアイ

171 ウズベキスタン

172 ベネズエラ

173 ベトナム

174 イエメン

175 ザンビア

176 ジンバブエ

177 マケドニア共和国

178 キリバス

今年の弁理士試験の最終合格者は260名

本日(平成30年11月8日)、平成30年度の弁理士試験の合格発表があり、合格者数は260名でした。昨年までの合格者数は以下の通りです。

 平成29年度 255名

 平成28年度 296名

 平成27年度 319名

 平成26年度 385名 

このところ減少傾向でしたが、今年は微増でした。

合格された皆様、おめでとうございます!

 

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平成30年度弁理士論文式試験の合格率は23.9%

本日(2018年9月25日)、弁理士試験の論文式試験の合格発表がありました。

合格者数は261名でした。合格率は23.9%です。

昨年度(平成29年度)の合格者数は229名、合格率は24.2%でした。

今年の短答式試験の合格者数は、昨年度の287名から今年度は620名に増えていたので、論文がどうなるか不安に感じていた受験生の方も多いと思いますが、結果としては論文の合格者数も増えて合格率は微減となりました。

合格された方々、おめでとうございます!

 

 

平成30年度改正著作権法の施行日(2019年4月21日更新)

1. TPP関連以外

1-1.原則

「著作権法の一部を改正する法律」の施行日は原則として平成31年1月1日です。

「学校教育法等の一部を改正する法律」による著作権法第33条の改正の施行日は平成31年4月1日です。

 平成31年度(令和元年度)の弁理士試験を受験される方は、これらの改正法を学習する必要があります。

「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」による著作権法の一部改正は、令和元年年7月1日から施行されます。この改正については令和2年度の弁理士試験対策として学習すれば良いでしょう。

 これ以外の施行日の規定を以下に解説します。

2-2. 例外

2-2-1. 既に施行されている規定

 13条5項(侵害とみなす行為)の改正については、著作権法の一部を改正する法律が公布された日(平成30年5月25日)から施行されています。平成31年度の弁理士試験を目指す方は学習が必要です。

2-2-2. 公布の日から3年以内に施行される規定

著作権法35条(学校その他の教育機関における複製等)の改正法、35条の改正に伴う48条1項3号、86条3項の改正法、及び、第5章(私的録音録画補償金)の改正法は、「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行されます。「政令で定める日」は、この記事の投稿日の時点ではまだ決まっていません。

これらの規定については、平成31年度の弁理士試験までに施行される可能性は低いと思います。

2.TPPの締結に伴う改正

「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」において予定されていた著作権法の改正については、TPP11協定が日本国について効力を生じた日から施行されています。

TPP11協定は,同協定の署名国(11カ国)のうち6カ国が国内法上の手続を完了したことを寄託者(ニュージーランド)に通報してから60日後に効力を生ずることとしていました(TPP11協定第3条)。

6カ国目の通報があったのは2018年10月31日であり、TPPの締結に伴う改正は平成30年12月30日から施行されています。

TPPの締結に伴う改正法も平成31年度の短答式試験から出題されます。

3. まとめ

平成31年度(令和元年)の弁理士試験対策としては、以下のものを除いて、学習しておくのが良いと思います。

 ① 第35条とそれに関連する改正

 ② 第5章の改正

 ③ 「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」による改正

①第35条とそれに関連する改正と、②第5章の改正については、施行日を確認してから学習するようにしましょう。

なお、特許法等の改正については下記リンク先の記事をご覧下さい。

ryuuji11itou16.hatenablog.com

 

www.bunka.go.jp

(平成30年6月29日)「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律」の成立について:公正取引委員会

 

学校教育法等の一部を改正する法律:文部科学省

 

www.bunka.go.jp

平成30年度改正の特許法等の施行日を整理します(2019年6月19日更新)

1. TPP関連以外

TPP関連以外の改正法として「不正競争防止法等の一部を改正する法律」があります。この改正法の施行日は原則として令和元年(平成31年、2019年)7月1日です。

この改正法には産業財産権法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)の法改正も含まれているので、基本的にはこれらの改正法も令和元年7月1日から施行されることになります。

令和元年の論文式試験は6月30日に実施され、「弁理士試験が実施される日に施行されている特許法等に関して出題する。」としていますので、この法改正は口述試験から影響することとなります。

しかし、既に新規性喪失の例外の改正法が施行されているように、例外的に令和元年7月1日以外の日から施行される規定があります。この例外の中で弁理士試験に影響がありそうなところを以下に挙げます。

1-1. 平成30年6月9日から施行されているもの

1-1-1. 新規性喪失の例外期間(特許、実用新案、意匠)

新規性喪失の適用期間を公表から「1年」とした改正法の施行日は「公布の日から起算して10日を経過した日」とされており、公布の日は平成30年5月30日でしたので、平成30年6月9日に施行されています。

したがって、令和元年の弁理士試験では短答式試験から出題されるものとして学習しておく必要があります。

1-1-2. 商標登録出願の分割の要件追加

商標登録出願の分割の要件として出願手数料を支払っていることを追加した改正法は、新規性喪失の例外と同様に平成30年6月9日に施行されています。

したがって、令和元年の弁理士試験では短答式試験から出題されるものとして学習しておく必要があります。

1-2. 平成30年11月29日から施行されているもの

1-2-1. 不正競争防止法第2条第1項第11号、12号の改正

不正競争防止法第2条第1項第11号、12号(技術的制限手段の効果を妨げる装置等の譲渡等)の改正の施行日は、「公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日」とされており、この施行期日を平成30年11月29日とする政令が閣議決定されています。したがって、この改正法は平成31年度の弁理士試験の出題範囲となります。

令和元年7月1日の施行日を迎えると、他の規定の改正の影響により、不正競争防止法第2条第1項第11号は「17号」に、12号は「18号」にスライドしますが、それまでは11号、12号のままとなります。

1-2-2. 不正競争防止法第2条第7項の改正

 不正競争防止法第2条第7項(技術的制限手段の定義)の改正の施行日は、2条1項11号、12号と同様に、平成30年11月29日です。したがって、令和元年の弁理士試験の出題範囲となります。

ただし、「(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)」を削る改正と、不正競争防止法第2条第7項を8項にスライドさせる改正については、令和元年7月1日に施行となります。したがって、平成31年度の弁理士試験の短答式試験が例年通りの日程で行われれば、試験当日に施行されている法律の条文は以下の通りになります。

この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録のために用いられる機器をいう。以下この項において同じ。)が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音、プログラムその他の情報を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。

 

1-2-3. 不正競争防止法第19条第1項第8号の改正

 不正競争防止法第19条第1項第8号(2条1項11号、12号に関する適用除外)の改正の施行日は、2条1項11号、12号と同様に、平成30年11月29日です。したがって、令和元年の弁理士試験の出題範囲となります。

ただし、同規定中、2条1項11号、12号を示す部分を改正後の2条1項17号、18号とする改正、及び、19条1項8号を19条1項9号にスライドする改正については、令和元年7月1日に施行となります。したがって、令和元年の弁理士試験の短答式試験が例年通りの日程で行われれば、試験当日の条文は以下の通りになります。

 第二条第一項第十一号及び第十二号に掲げる不正競争 技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる同項第十一号及び第十二号に規定する装置、これの号に規定するプログラム若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し若しくは当該プログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為又は技術的制限手段の試験又は研究のために行われるこれらの号に規定する役務を提供する行為

 1-3. 平成31年4月1日から施行されるもの

  特許法107条3項(特許料)、109条の2(特許料の減免又は猶予)、112条1項及び6項(特許料の追納)、195条6項(手数料)、195条の2の2(出願審査の請求の手数料の減免)の規定は、平成31年4月1日から施行されます。新規性喪失の例外を除いて、今回の特許法の改正のメインとなる手数料に関する規定がここに含まれています。弁理士試験においては平成31年度の短答式試験から出題ということになります。 

1-4. 令和2年1月1日から施行されるもの

  意匠法15条1項(特許法の準用)、60条の10(パリ条約等による優先権主張の手続の特例)については、令和2年1月1日に施行されます。令和2年の短答式試験から影響することになります。

2.TPPの締結に伴う改正

「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」において予定されていた特許法、商標法の改正については、一部を除いて、TPP11協定が日本国について効力を生ずる日から施行されています。

TPP11協定は,同協定の署名国(11カ国)のうち6カ国が国内法上の手続を完了したことを寄託者(ニュージーランド)に通報してから60日後に効力を生ずることとしていました(TPP11協定第3条)。

6カ国目の通報があったのは平成30年10月31日であり、TPPの締結に伴う改正は平成30年12月30日から施行されています。弁理士試験においては令和元年の短答式試験から出題されます。

3.マドリッド協定議定書の共通規則の改正

マドリッド協定議定書の共通規則の第27規則の2、第27規則の3、第40規則(6)等の改正が2019年2月1日に発効されています。

 

4. 弁理士試験用まとめ

4-1. 特許法・実用新案法

 今回の改正のメインとなる新規性喪失の例外(特許法第30条)と手数料に関する規定(特許法第109条の2、195条の2の2等)、TPP関連の改正(特許法第67条~67条の8、125条の2等)は令和元年の短答式試験から出題されるものとして学習する必要があります。

 その他の改正、つまり、書類の提出等(特許法第105条)と証明等の請求(特許法第186条)については令和元年の口述試験から出題されるものとして学習するのが良いと思います。

4-2. 意匠法

 新規性喪失の例外(意匠法第4条)については短答式試験から出題されるものとして学習する必要があります。

 意匠法15条1項(特許法の準用)、60条の10(パリ条約等による優先権主張の手続の特例)の改正については、令和2年の短答式試験から出題あれます。

 それ以外の改正、つまり、63条(証明等の請求)は口述の試験対策として学習するのが良いと思います。

4-3. 商標法

 商標登録出願の分割に関する改正(商標法第10条)、TPP関連の改正(商標法第38条等)は令和元年の短答式試験から出題されるものとして学習する必要があります。

 それ以外の改正、つまり、証明等の請求(商標法第72条)は口述の試験対策として学習するのが良いと思います。

4-4. 不正競争防止法

 技術的制限手段に関する改正(不正競争防止法2条1項11号、12号、同条7項、19条1項18号)は、短答式試験で出題されるものとして学習する必要があります。

 それ以外の改正は令和元年の弁理士試験(短答式試験)では出題されない可能性が高いです。

 なお、著作権法については、下記リンク先の記事をご覧下さい。

4-5.マドリッド協定議定書

 マドリッド協定議定書の共通規則の改正は令和元年の弁理士試験から出題されるものとして学習する必要があります。

 

 平成30年度改正と令和元年度改正をまとめた今後施行される改正法については、下のリンク先をご覧下さい。

inoue-patent.com

 

www.jpo.go.jp

 

ryuuji11itou16.hatenablog.com

 

www.jpo.go.jp

 

www.meti.go.jp

 

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国内優先権主張出願の留意点

国内優先権主張の基礎出願において新規性喪失の例外の手続をしている場合、国内優先権主張出願においても手続が必要なので注意しましょう。

提出擬制がある分割出願と同じような感覚で国内優先権主張出願をすると、例外適用を受けられず、基礎出願で新規性喪失を自白しているようなものなので、えらい事になります。ご安全に!