ふかきあきじ

知財について

欧州の Poisonous Divisional に進展

欧州で特許出願を分割した場合に、優先権主張が認められる出願と認められない出願の間で自己衝突が生じるという「Poisonous Divisional」に進展があったようです。

日本では、先願と後願の間で出願人または発明者が同一の場合、特許法第29条の2が適用されず特許を受けることが可能であるのに対して、欧州では厳しい運用がされていたのですが、それが解消されるかもしれないということです。

blog.livedoor.jp

浜松市、登録商標「直虎」に異議申し立て

浜松市と浜松商工会議所は、登録商標「直虎」について特許庁に異議申し立てを行ったそうです。

www.chunichi.co.jp

異議申し立てがされたのは下記の2つの商標登録のようですが、他にも「直虎」を含む商標について14の登録と12の出願があるので、今後も異議申し立てや審判請求が続くかもしれません。


登録番号   第5846107号

登録日      平成28年(2016)4月28日
出願番号     商願2015-83149
出願日      平成27年(2015)8月28日
先願権発生日   平成27年(2015)8月28日
存続期間満了日  平成38年(2026)4月28日
商標(検索用)  直虎

称呼(参考情報) ナオトラ

区分数      1

【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】

30 茶,せんべい,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ
【類似群コード】

29A01 30A01 32F06

 

登録番号   第5846295号

登録日      平成28年(2016)4月28日
出願番号     商願2015-118217
出願日      平成27年(2015)12月2日
先願権発生日   平成27年(2015)12月2日
存続期間満了日  平成38年(2026)4月28日
商標(検索用)  直虎
標準文字商標

称呼(参考情報) ナオトラ
区分数      1
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
30 みそ,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類
 【類似群コード】

31A01 31A02 31A03 31A04 31A05 31B01 31D01 32F03 32F14 33A01 33A03

商品・役務の別表の改正と類似・商品役務審査基準の改定

商品・役務の区分を定める商標法施行規則の別表が改正されます。改正された別表は平成29年1月1日(日)以降の出願に適用されます。また、これに伴い、類似商品・役務審査基準も改定されます。

 

この改正では①「国際分類の改訂に伴う改正」と②「商取引の実情の変化等に伴う改正」があります。

 

特許庁のホームページでは、②「商取引の実情の変化等に伴う改正」の例として、第11類の「懐炉灰」が削除されるとあります。

 

懐炉灰」って・・・何?

 

ということで調べてみました。

懐炉灰」とは、火をつけて懐炉(カイロ)に入れる固形燃料のことだそうで、「カイロバイ」と読むそうです。燃料なのに「灰」と呼ぶとは驚きです。使い捨てカイロはこの時期によくお世話になっていますが、使い捨てでないカイロがあるとは考えたこともありませんでした。

 

その他、改正について詳しくは下記リンクをご覧下さい。このWEBページでは改正箇所の例として少ししか挙がっていませんが、ページの下の方にあるリンクから新旧対照表を見ると多くの部分で改正がされることが分かります。

www.jpo.go.jp

 

類似商品・役務審査基準の改定はこちら。

www.jpo.go.jp

米国弁護士、特許権侵害でBMWを訴える?

WIPR(World Intellectural Property Review)によると、米国弁護士が、自らが保有する特許権を侵害されたとして、BMWを訴えたとのことです。

 

www.worldipreview.com

 

そんなこともあるのかな~と思いつつ、訴えたとされるTheodore & Associatesがどんな法律事務所か気になってリンク先のホームページを見たところ、とても法律事務所には見えません。

 

Theodore & Associatesという法律事務所のような名称の会社ではありますが、技術系のコンサルタント会社のようです。

 

以上、よく分からないニュースでした。

 

 

 

 

 

米国最高裁、消尽に関する再審理を決定

2016年12月2日、米国最高裁判所(US Supreme Court )は、特許権の消尽についての解釈が争点となっている 事件(Impression Products, Inc. v. Lexmark International, Inc.)について再審理(review)することを決定したということです。

 

この事件では(1)外国での販売によって米国の特許が消尽するか、(2)特許製品を適法に販売した後、その製品の使用を特許で制限できるか、が争点になっています。

 

判決は2017年6月になりそうです。

 

www.jdsupra.com

 

 

 

Stupid Patent of the Month

電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation)が発表した11月の「Stupid Patent of the Month(今月のばかげた特許)」がこれです。

www.google.com

サーバーにコンテンツを格納して配信する方法のようです。同財団によると、1990年代半ばであれば幾分新鮮なアイデアだったが、この特許出願は2011年に出願されているとのことです。ひどい言われようですね。

 

もし自分が担当した特許がStupid Patent of the Monthに選ばれたら嫌だろうなと思っていましたが、よく考えたら弁理士としては腕が良いということになるのかもしれませんね。Stupid Patent Attorney of the Monthにならないように頑張ります。

 

www.eff.org

対ドローンの新兵器「ドローンガン」がカッコいい!

違法ドローン対策の新兵器、その名も「ドローンガン(DroneGun)」。

www.theverge.com

ごっついライフルのような見た目からドローンを派手に打ち落とすのかと思いきや、ドローンを操縦不能にして、優しく着陸させます。2km以内の距離にあるドローンに適用可能とのこと。

 

ドローンガンを製造するドローンシールド(DroneShield)社は、ドローン防衛以外にも、移動電話通信、ネットワーキングなどの分野で13の特許と22の特許出願を有しているそうです。(一応、知財のことも書いておきます。)

 

 

 

 

 

 

 

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欧州の参戦で、特許訴訟の中心は米欧中の三つ巴に?

2016年11月7日、ウォールストリートジャーナルは、中国が特許訴訟を提起する場として魅力的になっていることを伝えました。

 

その理由として、中国の特許訴訟の手続きがスピーディーになり、コストも安価で、中国で侵害が認められれば、中国国内の製品に適用されるだけでなく、中国で製造した物の輸出にも適用されるため、原告はライセンスの交渉ツールが得られることを挙げています。

 

www.wsj.com

 

これにより、特許訴訟の比重は、現在、特許訴訟の中心となっている米国から中国に移るものと考えていました。

 

ところが、2016年11月28日、英国が欧州統一裁判所協定に批准する計画を進めることを発表しました。

www.gov.uk

 

これにより、欧州統一裁判所が近く実現するとなると、特許訴訟の場の選択肢には欧州統一裁判所も入ってきます。

 

欧州は、コスト的には中国に及ばないかもしれませんが、市場規模やグローバル企業が多いことを考えると魅力的な戦場となるでしょう。

 

これにより、今後の特許訴訟の中心は米国、中国、欧州になると考えられます。

 (日本が入っていないのが寂しいですね。日本も東南アジアを巻き込む等してここに食い込めるとよいのですが。)

 

国際出願関係手数料が改訂

平成29年(2017年)1月1日から日本を受理官庁とする国際出願(PCT出願)関係手数料が改訂されます。

安くなるものが多いのですが、EPOに国際調査してもらう場合の調査手数料は600円高くなって「213,600円」とのことです。日本の特許庁が国際調査をする場合の調査手数料は「70,000円」ですので、だいぶ高いですね。

www.jpo.go.jp

スワロフスキーの偽物、年間15兆円超え!?

WIPR(World Intellectural Property Review)によると 、宝飾品を販売するスワロフスキーは、インターネット上で偽造品を販売する業者を被告として、商標権侵害訴訟を米国で提起したとのことです。

原告は、被告が運営するようなウェブサイトは年間数千万の訪問者があり、

年間15兆円(1,350億ドル)を超える売上があると推定しています。

年間15兆円というのは、にわかには信じがたい数字ですね。調べたところ、本田技研工業の売り上げと同じくらいです。

仮に年間3000万人がウェブサイトを訪問したとして、一人当たり50万円の売上があることになります。やっぱりおかしいですよね。

私の計算が間違えているのでしょうか。

www.worldipreview.com

 

日清紡、研究開発に人工知能(AI)導入

日清紡知財管理や製品開発の迅速化などを目的とした人工知能(AI)の導入を検討しており、早ければ2017年から運用を始めるとのことです。

www.kagakukogyonippo.com

英国、EU離脱でも統一裁判所協定からは離脱せず?

イギリス政府は、EU離脱(Brexit)が統一裁判所協定(UPCA, Unified Patent Court Agreement)を批准する計画を挫折させることはないと発表したということです。

現在、イギリスとドイツが統一裁判所協定に批准すれば、統一裁判所協定が発効する状態にあります。ドイツは来年初めに統一裁判所協定を批准する予定であるため、イギリスが批准する計画を進めることにより、近い将来、統一裁判所が実現することになりそうです。統一裁判所が実現すれば、単一特許(単一効特許、Unitary Patent)も実現することになります。

ただし、イギリスがEUを離脱した後、どのような立場に置かれるのかは不明です。

www.jdsupra.com

 

米国でクレームを補正するときにクレーム番号の後に付けるアレ

米国でクレームを補正するときにクレーム番号の後にかっこ書きで付けるアレについてまとめました。日本語で何と訳されているのか分かりませんが英語では「Status Identifier」と呼んでいるそうです。

(Original)

出願当初から補正していないクレームに付ける。

PCTから米国に移行した場合、国際出願日に存在したクレームまたはPCT規則91(書類中の明白な誤り)に基づいて補正されたクレームに付ける。

 

(Currently amended)

その時に補正しようとしているクレームに付ける。

PCTの米国国内段階出願で提出した補正がクレームを変更するときも付ける。

 

(Previously presented)

以前に補正したけれども、その時には補正しないクレームに付ける。

PCT19条補正または34条補正によって補正されたクレームに付ける。

 

(Withdrawn)

限定要求または選択要求に対して選択しなかったクレームに付ける。

選択しなかったクレームでその時に補正するものにも付ける。この場合、(withdrawn – currently amended)としても良い。

 

(New)

新たに追加する補正に付ける。

予備補正によって追加してクレームは、予備補正が出願日に存在し、そのクレームが当初開示の一部とされる場合であっても、(original)ではなく(new)を付ける。 

 

(Canceled)

キャンセルしたクレームに付ける。

出願日に存在する予備補正によってキャンセルされたクレームにも付ける。

PCT19条補正または34条補正によってキャンセルしたクレームにも付ける。

限定要求または選択要求に対して選択しなかったクレームでキャンセルするものにも付ける。

 

(Not entered)

 補正において以前に提示したが却下されたクレームに付ける。

 

[出典]

714-Amendments, Applicant’s Action