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令和元年の特許法等改正の施行日まとめ(2019年11月3日更新)

令和元年(平成31年、2019年)の「特許法等の一部を改正する法律」が令和元年5月17日に公布されました。改正の概要については、こちらをご覧下さい。

 

1.原則

令和元年の「特許法等の一部を改正する法律」の施行日は基本的に令和2年4月1日です。例外的に他の日に施行される規定もあります。例外についてはこの記事の下の方をご覧ください。

令和2年4月1日に施行されるのは以下の改正規定です。

1-1. 特許法

  • 第102条(損害の額の推定等)の一部改正

1-2. 実用新案法

  • 第29条(損害の額の推定等)の一部改正
  • 第37条(実用新案登録無効審判)の一部改正

1-3. 意匠法

  • 第2条(定義等)の一部改正
  • 第3条第2項(創作非容易性)の一部改正
  • 第5条(意匠登録を受けることができない意匠)の一部改正
  • 第5条の2(仮通常実施権)の一部改正
  • 第6条(意匠登録出願)の一部改正
  • 第8条の2(内装の意匠)の新設
  • 第10条(関連意匠)の一部改正(かっこ書に「43条の2第1項」を追加する改正を除く)
  • 第17条(拒絶の査定)の一部改正
  • 第21条(存続期間)の一部改正
  • 第22条(関連意匠の意匠権の移転)の一部改正
  • 第26条の2(意匠権の移転の特例)の一部改正
  • 第27条(専用実施権)の一部改正
  • 第37条第2項(差止請求の付帯請求)の一部改正
  • 第38条(侵害とみなす行為)の一部改正
  • 第39条(損害の額の推定等)の一部改正
  • 第42条(登録料)の一部改正
  • 第44条の3(回復した意匠権の効力の制限)の一部改正
  • 第48条(意匠登録無効審判)の一部改正
  • 第55条(再審により回復した意匠権の効力の制限)の一部改正
  • 第60条の6(国際出願による意匠登録出願)の一部改正
  • 第60条の8(関連意匠の登録の特例)の一部改正
  • 第60条の15(関連意匠の意匠権の移転の特例)の一部改正
  • 第60条の16(関連意匠の意匠権についての専用実施権の設定の特例)の一部改正
  • 第60条の21(国際意匠登録出願の個別指定手数料)の一部改正
  • 第64条(意匠登録表示)の一部改正
  • 第65条(虚偽表示の禁止)の一部改正
  • 第66条(意匠公報)の一部改正

1-4. 商標法

  • 第31条(通常使用権)の一部改正
  • 第38条(損害の額の推定等)の一部改正
  • 第68条の28(手続の補正の特例)の一部改正

上記の通り、今回の改正のメインとなる意匠法の改正規定は、概ねこの原則の施行日が適用されます。 

 

2.例外

2-1. 公布の日から起算して10日

商標法第31条第1項ただし書を削除する改正規定は、例外的に、公布の日から起算して10日を経過した日に施行されます。公布された日は2019年5月17日ですので、2019年5月27日から施行されています。

商標法第31条第1項ただし書は、国・地方公共団体等が、商標法第4条第2項の規定により商標法第4条第1項第6号の例外として商標登録を受けた場合、他人に通常使用権を許諾できないとする規定です。

この規定が削除されますので、商標法第4条第2項の適用を受けて商標登録を受けた場合であっても、他人に通常使用権を許諾できることとなります。

 

2-2. 公布の日から起算して1年6月

改正法の公布の日から起算して1年6月を越えない範囲内において政令で定める日から施行されるのは、下に列挙する改正規定です。令和2年(2020年)の弁理士試験の前に施行されない可能性も十分にあるので、施行日を確認してから学習するようにしましょう。「政令で定める日」は、投稿時点では決定されていません。

2-2-1. 特許法
  • 第65条第6項(補償金請求権)の一部改正
  • 第105条第4項(書類の提出等)の一部改正
  • 第105条の2(損害計算のための鑑定)を105条の2の11とする改正 
  • 第105条の2から105条の2の10(査証制度)の新設
  • 第105条の4第1項第1号(秘密保持命令)の一部改正
  • 第168条第6項(審判における費用の負担)の一部改正
  • 第200条(秘密を漏らした罪)の見出しの改正
  • 第200条の2(秘密保持命令違反の罪)を特許法第200条の3とする改正
  • 第200条の2(査証人の秘密漏えいの罪)の新設
2-2-2. 実用新案法
  • 第30条(特許法の準用)の一部改正
2-2-3. 意匠法
  • 意匠法第41条(特許法の準用)の一部改正
  • 意匠法第60条の12第2項(国際公表の効果)の一部改正
2-2-4.商標法
  • 商標法第13条の2第5項(金銭的請求権)の一部改正
  • 商標法第39条(特許法の準用)の一部改正

上記の通り、特許法の改正のうち特許法第102条(損害の額の推定等)の改正以外は、この例外の施行日(公布の日から1年6月以内で政令で定める日)が適用されます。

 

2-3. 公布の日から起算して2年

改正法の公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されるのは、主に下に列挙する規定についての改正規定です。令和2年(2020年)の弁理士試験の前に施行されない可能性が高いので、施行日を確認してから学習するようにしましょう。「政令で定める日」は、投稿時点では決定されていません。

2-2-1. 意匠法
  • 第7条(一意正一出願)の一部改正
  • 第10条第1項(関連意匠)のかっこ書に「第43条の2第1項」を加える改正
  • 第10条の2(意匠登録出願の分割)第2項、第3項の一部改正
  • 第15条第1項(特許法の準用)の一部改正
  • 第60条の10(パリ条約等による優先権主張の手続の特例)の一部改正
  • 第68条第1項(特許法の準用)の一部改正 
  • 別表(料金表)の一部改正

上記の通り、この例外の施行日(公布の日から2年以内で政令で定める日)となるのは、意匠法に関する改正規定のみです。

 

3.まとめ

令和2年度の弁理士試験を受験される方は、令和2年4月1日に施行される改正法と、2019年5月27日に施行された改正法について学習する必要があります。

なお、平成30年(2018年)の改正法の一部も、令和2年(2020年)の弁理士試験から出題されます。平成30年の改正法の施行日については下記リンク先をご覧下さい。

 

ryuuji11itou16.hatenablog.com

 

平成30年度改正と令和元年度改正をまとめた今後施行される改正法については、下のリンク先をご覧下さい。

inoue-patent.com

 

 

 

ryuuji11itou16.hatenablog.com

 

[出典]

www.meti.go.jp

 

 

www.jpo.go.jp

 

www.meti.go.jp